「静かに!」

教頭先生の一声で、体育館が静かになった。

「ですが、彼女と別れるつもりは全くございません。

何故なら」

そう何故なら、
「彼女とは、愛しあって結婚したからです」

そこに、“愛”があったから。

ありえない出会いと再会から始まった結婚とは言え、俺たちは愛しあったから夫婦になった。

「親戚だと騙したうえに、このことを黙っていたことに関しては本当に申し訳ないと心から思っています。

その責任としてなんですが、私は今年の3月いっぱいで退職をいたします。

本当に、申し訳ございませんでした!」

頭を下げ、壇上を降りたその時だった。