「おい、あいつだぜ。

江口穂波って言うの」

「うわー、かわいいー」

お前ら、クラス違うんだよな?

授業が始まるからさっさと自分のクラスに帰ってけと、俺は心の中で毒づいた。

文化祭が終わってからこんな感じだ。

『メイド&執事喫茶』の評判が相当なまでによかった……と言うよりも、穂波の評判が相当なまでにだったらしく、他のクラスから穂波の参拝客が訪れるのもしばしば。

「江口さん、モテモテですね」

永田先生がしみじみしながら言った。

「…ああ、そうっすね」

俺は俺で、気が気じゃない。