きっかけは、夏休み初日の電話だった。

「もしもし」

相手が誰かを特に考えもしなかったのが、そもそもの間違いであった。

「拓人?

あんた、穂波ちゃんと元気にやってる?」

姉ちゃんだった。

退散!

受話器を置こうとしたら、
「ちょっと待ちなさい!

あんたと穂波ちゃんにいい話を持ってきたんだから」

止められた。

つーか、何でわかった?

って言うか、いい話って…。

こう言う場合、悪い話と言う確率が100パーセントである。