「って言うか、もう帰れ。

下校時間とっくに過ぎてんぞ」

そう言った俺に、
「じゃあ、家に帰ったらしてくれる?」

穂波が聞いてきた。

こいつ、マジで何者なんだ?

そんなとびきりの笑顔で、しかも大きな目で俺を見つめて、そのセリフって…。

何気に策略家なとこあんな。

計算高いの見え見えだな。

「――わ、わかったよ!」

チキショー、かわい過ぎる!

今は負けを認めるしか手段がない。

「じゃ、楽しみにしてるね♪」

穂波は手を振りながら、教室を出た。

何が楽しみにしてるだよ…。

「いいに迷惑だ、チキショー…」

でも、まんざらでもないんだけど。