「彩夏さん、奇遇ですね」 「あれ、 …桑原?」 可愛らしい格好をした彩夏さんが、 はた、と顔をあげた。 どこかへ行く途中だったのだろうか。 それにしても、 偶然にも程がある。 「桑原、私服は着物なんだ…?」 変わらずきょとんとした顔のまま、 彩夏さんは呟いた。 「ええ、そうですよ」 「へぇー… 似合ってる」 くすくすと笑いながら、 彩夏さんは僕を見上げた。 「桑原は今日はどうしたの?」