「…眠い。」 私は目をこすって欠伸を噛み殺す。 「今…9時、か」 同僚はみな帰った。 彼らは優秀だ。 滅多に残業などしない。 菱垣課長が帰ったかは分からない。 何しろ、課長は神出鬼没の傾向にあるからだ。 缶コーヒーは飲みきった。 持っていたミントのタブレットは食べきった。 欠伸が止まらない。 「…ちょっと、だけ…」 私は、意識を手放した。