「大丈夫?彩夏」
「ありがとう香織。
ちょっと面倒なコトになっただけだから」
飯野香織。
私の会社で出来た友達で、良く飲みに行く仲だ。
「っ、早いっつの、彩夏チャンっ」
和泉と桑原がようやく追いつく。
「彩夏より、この二人の方がよっぽどダメね」
香織がクスッと笑う。
「…はぁ、笑わないで下さいよ、飯野さん。
何しろ、はぁ、
彩夏さんは学生時代は陸上選手…、
でしたからね」
「え、陸上選手?
ってかマキマキもやしすぎねぇ?」
瀕死の桑原に、和泉がツッコむ。
「…確かに私は陸上やってたよ。
でも、昔の話を蒸し返さないの」
私が冷たく言うと、和泉はうっ、と黙った。

