「今一番売れてるアイドルよ」
私は桑原に言った。
「出すCDはミリオンを叩き出すし、
トークの盛り上げ方も上手いから番組に引っ張りだこ」
明るい茶に髪を染めた、
背の高いチャラそうな彼は、車を降りてファンに笑顔で挨拶する。
「…でも、あれ?
こっちに来ますけど…」
「うっそ、SENRIがこっちに来る!!」
「…ぁ、バカっ」
「さーやかちゃーんっ!!」
…「ヤツ」は笑顔で、私に向かって手を広げる。
「…っ」
「彩夏ちゃんだよね?
いやぁ今日さー新曲のPVこのカフェで録る予定だったんだけどー、
会えて嬉しいなっ!!」

