甘い香りに包まれ、
私はすっかり気分も軽くなっていた。
それに、じっくり話してみると分かるのだが、
やはり桑原も和泉も本当にいい奴だった。
些細なコトでも、私を心配してくれる。
2人とも、ある意味でフェミニストだからなのかも知れないが、悪い気はしない。
今日はもう店じまい、ということでカフェを出ると、
外が騒がしかった。
「何かやってんのかなー
人だかりが出来てるけど?」
和泉が背伸びしながら向こうを見る。
「あれ、車が停まりましたよ?」
人だかりの側に、1台の車が止まる。
…左ハンドルだ。
「っ、
アレってSENRIじゃん!!」
和泉が大声を上げた。
「SENRI…?
誰ですか、それ」
分からない、と言った風に桑原は言った。

