そうやって、そこらへんをうろうろしていると・・・

「おい」

低い声が聞こえた。

この声は・・・

『ひっ~!』

「何に怯えてんだよ・・・」

聖也だった。

「何やってんだ?こんなところで・・・」

『・・・』

「ふっ・・・もしかしてお前、迷ったのか?」

『ちっ』

バレた・・・?

やっぱり・・・?

「方向音痴だったのか?・・・なら、早く言えよ。ここの別荘は方向音痴は必ず迷うところだからな」

『誰がーーーーーー!!』

言いたいこと言いやがって。

しかも・・・当たっていることを・・・。

「ふっ・・・皆待ってるからさっさと行くぞ」

『あ、あぁ・・・』

おそらく、服の下に水着を着ているであろう聖也は歩き出した。

『ちっ・・・』

私が舌打ちをすれば、止まって振り返り思いっ切り睨む聖也。

私はそれが少々楽しく、何回もやってしまったが

いい加減にしろ、と、どす黒い声で言われたから

すぐにやめた。

やっと入り口に辿りついた。

「ひかるちゃん!遅かったですね・・・何かありましたか?」

出てきた私に駆け寄る新。

『あぁ・・・ちょっとあってな・・・』

理由になってない理由で何とか誤魔化せた・・・?

でも・・・

「こいつ迷ってたんだよ・・・方向音痴なんだってよ」

『聖也~~~!!!』

怒りを込めて聖也を思いっ切り睨んでやった。

新は・・・ひいている。

「う、海行きましょうか。皆待ってますよ」

新は微笑みながら言った。

『そーだなっ!!』

私達はくだらない話をしながら

皆の待っている海へ行った。