荏月の言葉に。

「…………」

遡雫はジワリと涙を浮かべる。

「お兄ちゃんはご飯食べさせてくれないの…?…悲しいねぇ、悲しいねぇ…」

ベソをかいて柿ピーにコショコショ耳打ちする遡雫。

これは一大事だ!

遡雫姫が泣いておられる!

「てんめぇスペシャルバカ!」

荏月はすかさず、傍らに胡坐をかいていた家臣の一人、丹下 龍太郎(たんげ りゅうたろう)の頭を引っ叩く!

「遡雫が泣いちまったじゃねぇか、あ゛ぁ?どう責任取るんだこの野郎」

「んだよ何俺の頭引っ叩いてんだヤン男、あ゛ぁ?」

立ち上がってヤン男の額にゴツン!と己の額をぶつける龍太郎。

「てめぇが不甲斐ねぇ家臣だから泣かしたんじゃねぇのかゴルァ!打ち首の上、市中引き回しにすんぞボケが」

「おめぇこそ馬に繋いで股裂きの刑にすんぞフルボッコが」

「時代劇でスペシャルバカとかフルボッコとか言ってんじゃねぇぞヤン男」

「うるせぇな、てめぇは時代を超越してスペシャルバカなんだよ」