「よう、元気でやっているか」
夢の中でアイツは笑っていた。

「ああ、元気だよ。お前は」
死んだ奴に聞くことではなかったが、夢の中のアイツは少し若返ったようだ。

「取りあえずはな。それより、頼みがある」
「何だい。出来ることなら聞いてやる」
「妻を殺してくれ」
「何故だ」
「若い男を連れこんで、俺の生命保険の金を貢いでいる。それにまだ、墓も建ててもらってない。このままでは、成仏できない」
「俺を恨んでないのか」
「ああ、お前に恨みはない。自分で落ちたのだからな」

俺はアイツの二つの望みを叶えてやった。

墓を建てて、奴の妻を…

再び今度は目の前に現れたアイツは、俺に礼を言った。

「ありがとう、これで成仏できる」
そう言うとかき消すように姿が見えなくなった。

「俺も気が楽になったよ」
俺もそう言うと、ソファーに座った。

足元にはアイツの妻が横たわっている。

しかし、俺も腹を刺されてしまった。
まさかナイフを持っていたとは、、、。

次第に意識が薄れてきた。
成仏できたら、アイツとゆっくり話でもしようかな。