華恋≪完≫


「でね、待ってたの。放課後からずっと。でも……来なかった。来てくれなかった」

「あいつは、今日……」

「え?川島くん、疾風の事知ってるの?!」

あ――、やべ。
墓穴掘ったな……これ。

「…まぁ、うん」

思わず言葉をにごらせる俺に、彼女は不思議そうな顔をして

「ねぇ、疾風に会ったんでしょ?」

「それは……」

言ってしまっていいんだろうか?
今日、病院で、疾風と会ったってこと。

そして、『うん。俺…鈴蘭の事好き。むっちゃ好き。小さい頃からずっと』
って、言われたことも?

包み隠さずに離してしまえば…花崎は、俺のそばから離れるんじゃないか?
まるで、悪循環。

だけど、その悪循環を、自らの手で作り出せるほど、お人好しではない。

「会ったけど別に、これといった話はしてねーよ?」

だから、こんな嘘をついてしまった。
ごめんな?本当の事を言えなくて。