華恋≪完≫


「行ってきまぁ~す!」

「あぁ~…こんな美少女を朝から遅れるなんて幸せ……」


うっとりしている有くんは、あえて放っておいて……。


「ねぇ、鈴姉ちゃん」

「ん?何?」

玄関までわざわざあたしを追いかけてきた爽汰は、
頭をクシャッと搔いてから一言。


「……頑張ってね」

「ぅん。ありがと」


爽汰って、照れてる時頭を掻く癖があるんだよね……。
思わず笑ってしまいそうになったのをグッとこらえた


「じゃあね。夏休みとか、たまには帰って来るから……」

「ぅん。分かってる」


薄々お気づきかもしれませんが、あたしの高校は全寮制になってんの

だから、まぁ……、
それなりに家に帰る時間も減っちゃうって訳でして。