「じゃあ、今日は帰ります」 「あら、いいんですか?」 聞きたいことはあるけど、見当たらないから仕方ない。 「また来ます」 「はい、お気をつけて」 すっかり暗くなった道を、一人で歩く。 「あのね、今日新に会ったの」 「え…?」 「大丈夫。なにも言ってないよ?……もう別れたし」 「…………そっか」 そんな姿を、彼女に見られていたなんてこと知らずに。