「だから、この式にXを代入して―――……」

「…すいません。全っ然分かりません」

「……マジで?」

ってか、まず代入って意味が分からないんですけど?

「マジです。ごめんなさい」

「………」

あたしは今、後ろの席の桜【サクラ】に、勉強を教えてもらってます
新入生テストで、散々な結果だったし……

「どうやったらさ、そういう風にバカに育つ訳?」

う゛っ……

桜さん、毒舌っすね


白龍【ここ】へ来てもうすぐ一カ月が経つ。
クラスにも、やんわり馴染めてきた今日この頃―――…


今日は、一大イベントがあるのです。

「よし、席替えするぞー」

はい、来ました。

一大イベントだよ。超大事なんだよ、これ。

「男女別にくじ作ったから、それ引いて―――……」

「鈴、行くよっ!」

「はっ?!ちょ……」

こういう、出会いの場となると目を輝かせる桜。

あなた、そんなに彼氏欲しいんですか
そんだけ美人なんだから、普通に出来るでしょつーの!