「先生、ちょっとお手洗い行っていいですか?」
それは、離れたこの場所でも容易に聞きとれる声だった。
…当たり前のように、生徒全員の視線は聖那に集まるが
「お、おお…早く帰ってこいよ」
「ありがとうございます」
「どうしたんだろ、いきなりあんな大きい声出して…」
「悪い火海里。ちょっと抜けるわ」
「え……新っ?!」
あの目立つ行為が、聖那の『来い』サインだってこと
分からないほどバカじゃない。
―――――――――――
―――――――
「よく分かったね、新」
「お前よく、授業サボる時にこれで合図してたじゃん」
「…覚えててくれたんだ」
ふにゃ、っと笑う所は全然変わってない
変わったのは、俺達の関係と…俺の気持ち。

