華恋≪完≫


鈴蘭side

「あ――、だりぃ…」

とか言いながら、歩き出す彼を見て私は思う。


大分、悪いことしちゃったかな……。
そうだよね。もとはと言えば、あたしが悪かったんだし…


それなのに、勝手に泣いちゃって。
男の子、すっごい怒られてた……

でもね。ビックリしちゃったんだ
いきなり、至近距離に顔があったから……
(しかも、イケメン)


こんな事、もちろん初めてな訳で。

あ―――も―――!謝るタイミング、完全に逃しちゃった。
はぁー……


「危なっ……!」

彼はそう言った後、あたしが頭を打たない様に自分の手を下敷きにしてくれた。
そのお陰か、頭を打つこともなく。


めちゃめちゃ助けられてんじゃん!

「……どぉしよ…」

「ん、どしたのぉ?」

あたしの前の席の男の子が、不思議そうにこちらを見る

「その……。さっきの…」

「あぁ。新の事?大丈夫だよ!新、優しいからっ」

し……ん?

ってか、知り合いなんですか。

「あっ、僕は火海里ってゆうんだ。よろしくね」

「火海里くんね。OK、覚えた」

天使はこう言った。

「“火海里くん”じゃなくてっ、火海里って呼んで?」

「……ハイ」

あたし、何で敬語だ。