「随分あっさりじゃな…

まぁ…良いが…

志士達は魂で、お前は肉体ごと行ってもらう。


行く際には、刻越えの言霊を授けよう」


「あっさりって訳では無いがな。


で?


殺す女とは?」


ジジィの顔が悲しげだからだ。
さすがに言わないがな。


「芹沢鴨の女、お梅だ」


成る程。

そりゃ歴史を変える気にもなるな。

そして殺す訳も…


ジジィにニヤリと笑い了承する。


「なかなかの大物だな。

心配するな。

我々に出来ないことは無いさ。

言霊を預かる」


ジジィは悲しげに笑い、すまんと呟いた。


「任せたぞぃ…

『我ら、神が願いに飛翔せん』」


「確かに…

じゃあな。ジジィ…」


パシッ


話していた空間は、ジジィの手を叩く音と共に意識から消えていく。


辛い癖に、可愛気の無いジジィだね