ピッピッピッ、

プルルル、プルルル…

ガチャ

「へぇ」


自室に着き、携帯で山崎に電話をした。


「へぇじゃない。

間抜けな返事をするな。山崎」

「ヒィッ!!

すんまへん、

そやかて、今夜中ですやん」

現在、深夜2時。

「…山崎?」

「ッ!!すんまへん!

ぜんぜんダイジョウブです!」

フゥと、ため息をつくと、電話の向こう側で明らかに怯える声がする。


「山崎。
全て準備が出来た。

明日、全員に通達しろ。


『明後日、会える』とな…」


そこまで言うと、山崎は息を飲み、「やったー」と電話口でハシャギ出した。


「うるさい!


とにかく、今から言う住所に連れてこい。


東京の…」


山崎は慌てながら住所を了解し、「明日行って来ますわ」と真面目な声でいった。


しばらく指示を出して、通話を切った。



「明後日…か

アイツもくるんだな…」



自室の鏡の前に立ち、己の姿を見る。

誰もいないからと、薄着姿の自分。

過去が沢山刻みついた身体。


そっと傷痕をなぞり、悲しげに微笑みをこぼした。


「私の、ほしい物…ねぇ」




ゆっくりとベッドに横たわると、眠気に誘われたまま深い眠りについた。