「良い天気ですね…」


はふっと、ため息をつきながら、会社近くの公園でぼんやりする。


昼休みで、ゆったりとご飯を食べる。

このご時世、サラリーマンが公園でご飯を食べるのがざらだ。

「しかし、今日は私一人。

ちょっと良い日かな…?」


だけど…、何故か寂しい。

別に友人がいない訳ではない。

だが誰と居ても『違う』と思ってしまう。



20にして、大手『梅崎グループ』に入社して、経理課で課長にまで出世し、課の人間関係も友人関係も良好で何一つ文句の無い人生。


でも…物足りない人生。


「私は、寂しい人間ですねぇ…


足りない何て…

何が足りないのでしょうね?」

ベンチに座る私の隣で伸びる愛らしい猫に、愚痴るように話しながら、撫でてやる。

猫は相づちを打つかのように、一鳴きし、さっさと起き上がり居なくなった。

「…ひどい子ですねぇ…」


じんわりと手に残った猫の暖かさがやけに、私の心の穴を浮き彫りにする。



「はぁ…


この寂しさは何なのでしょうねぇ…

誰か教えてほしいくらいです…」


自分の幼い頃からずっと言って来た愚痴に自嘲気味にクスリと笑いが漏れ、気晴らしのように空を見上げた。


「良い色ですねぇ…」









「そうだな」