「土方はーん!!!


わい!!わいの事無視ぃ!!?」


チラリと見ると、関西弁のやつがボタボタと涙と鼻水を流してる。


「汚ねぇよ、山崎。


久しぶりだな…」


「土方っは~んっ!!」


げっ

こっちに走って来るっ


「来んなっ汚ねぇッ!!」

ゴンッ!!

「イッタァッ!!」


山崎が飛び掛かって来たので、鉄拳を振り落とすと、悲鳴を上げてのたうち回る。


「痛いけど、本もんや…

ヤバっちょう嬉しっ

アカンっアカンわぁ…」

のたうちながら、嬉しそうにぶつぶつ呟く山崎は、気持ち悪い。

今度から近づくの止めようかな…


何て考えていると、神の使いとやらは、用がすんだとばかりに歩き出す。


道場とは反対に。


「お、おい

道場はそっちじゃねぇ。

行くんだよな?




総司達もそうなんだろ?」


慌てて声を掛けると、面倒くさそうに振り返る。


「そうだが…


やはり、止めておく。

沖田は近藤に対する思いが強い。


近藤は、最後にと約束したんでな…」


冷めた瞳に、怪訝に見やるとニヤリと笑った。


「いずれ分かる。


また、会いに来る。



それまで、他言無用だ」


「…分かったよっ」


ガシガシ頭をかき回し、了承する。

そいつは山崎を呼ぶと、街中に消えていく。

山崎は、少し名残惜しげに「また来ます」と言い残し後を追うように居なくなった。


「さぁって、行くかっ



って…



あいつの名前聞き忘れた…」


自分の詰めの甘さに呆れながら道場に向かった。
遅刻して切れた総司に、その日土方は、八つ当たりされまくった…