「山南副長!」
前で芹沢と話しをしていた山南に声をかけると、予定通りにこっちにきた。
「………斎藤君?」
「…うっぷ…」
「御厨君(斎藤君は演技ですよね)?」
本気で顔色の悪い斎藤に、唖然とした表情で問いかけてくる。
紅妃は優しく頭を振る。
「食あたりだそうです(本気で当たってます)…
(仕方ないでしょう。取り敢えず、予定通りに)船を…」
「そうだね。(仕方ないね…)
待ってておくれ」
山南は一つ頷いくと、先頭に帰っていく。
(…怖いですねぇ~
あの2人には逆らわないようにしなくては)
黙って見ていた沖田は、ニコニコしながら密かに誓った。
山南から、報告を受けた芹沢は少し渋る仕草をしたが、すぐに船を止めさせた。
「早く、言えば良かろう!」
さっき迄渋った癖に…
って、芝居だったんですね…
心配そうな顔して…
紅妃はまたもやクスクス笑うと先を歩く芹沢を眺めた。
でも…ここまでですね。
芹沢筆頭局長殿…
優しく眺めていた紅妃の顔が、スッと冷たく冷えていた。
