昼も済み、近藤と数名の隊士は、奉行所に報告に向かって行った。
残りは、芹沢と夕涼みにきていた。
少し暗くなりはじめ、夕日を名残惜し気に水面がキラキラと輝いていた。
「涼しいですねぇ~」
沖田は、これからの事を理解しているのか、キャッキャッと楽しんでいる。
永倉ものんびりと涼んでいる。
山南は涼んでいる振りをしながらこちらを伺っていた。
紅妃は斎藤の隣に座り、のんびりと座っている。
船はゆっくり進み、程よく進んだ頃、斎藤が紅妃の袖を引いた。
作戦通りのはず…だった…
しかし、そこまで歴史通りなのか、斎藤の顔色は本気で悪かった。
「………斎藤?」
「………うっ………」
本気何か求めていなかったのに…
真っ青になった斎藤は呻きながら必死にこらえていた。
「…船酔いか?」
プルプル
「……食あたり?」
コクコク
「……………はぁ?」
昼飯で、斎藤は紅妃と同じ物を食べていた。
さらに言えば、沖田も永倉も山南まで同じ物を食べていた。
「…何で当たってんだよ…」
運が良いのか悪いのか…
かなり低い確率でなぜ当たる。
「うぅっ…」
涙目でプルプル震える斎藤に、何故か愛いらしさを感じる。
普段のキリッとした姿との差なのか…
…あぁ、これがいわゆるギャップ萌えか…
何となく理解すると、優しく背中を撫でつつ、山南を呼んでやった。
