「フフフ…
そんなに怯え無いでくださいよ…
初めまして。
私は、会津藩お預かり壬生浪士組副長付き小姓兼隊士の御厨紅です。
…長ったらしいですねぇ…
まぁ隊士ですよ。
そして…」
一瞬の内に刀を持った偽物が振り向き向かい合っていたのを、クルリとまわし偽物の肩をポンと掴み、耳にゆっくり近くと艶やかな声で囁く。
「貴方の刀を止めた、鉄扇の方は…
我らが筆頭局長様ですよ…」
優しく落ちて来た声は、まるで死刑宣告だった。
囁かれた男の記憶はここまでだった。
「…貴様も随分だな」
あまりの恐怖にドサリと崩れ落ちていた。
倒れた男と艶然と笑う紅妃に、芹沢は苦笑いを漏らし、残った男達を見据えた。
「神妙にせい。
刃向かえば、容赦はせんッ!!」
紅妃の脅しと、芹沢の一喝に戦意を喪失した偽物は大人しく縛につき、捕物帖は決着した。
