夜も深まり綺麗な満月がのぼる街中。
街中の一角はきらびやかにざわめいていた。
壬生浪士組、贔屓の角屋はさらに賑わっていた。
「ではッ!!新しい隊士の歓迎会だッ!!無礼講だぞ!
飲んで、食べて楽しんでくれ!
御厨君、一言頼むよ!」
ニコニコと待ちきれない感じの近藤は、紅妃を手招きして挨拶を促した。
「…御厨紅だ。
其なりに戦えると思う。
土方副長の小姓でもある。
よろしく」
ニコリ。
優しく笑った様に見えるのに、冷たく凍える雰囲気が紅妃から駄々漏れだった。
この壬生浪士組こと新撰組は男色の宝庫。
流石に武田の歓迎を受けただけあり、挨拶中に注がれた男色の視線を理解していた。
だからヒヤリとする笑顔で牽制したのだ。
つまり…
「男色が近くんじゃねぇよ?
わかんだろ?あ゛ぁ?」
って事。
そんな紅妃の顔が見えなかった近藤はニコニコ笑い乾杯とさけぶ。
横から見た、土方達は苦笑いをし、近藤の横で見ていた芹沢は、クツクツと笑いを堪える。
「まぁ、せいぜい頑張れや。
御厨」
珍しく、芹沢からの声かけに、近藤派ならずとも驚いた。
「え…
めんど…ぼちぼちがんばります…」
さらりと嫌そうに返事をするとふらりと、沖田と斎藤の間に座り酒を飲み始めた。
それからは、無礼講の名のもとに、原田、永倉、藤堂が率先し宴会を盛り上げた。
