「では、失礼する」
紅妃はさっさと土方の部屋から居なくなり、3人は思わずため息がでた。
「はぁぁ、紅妃ったら素敵ですねぇ!」
「…うむ」
「…伊藤じゃなく、あいつが来てりゃぁ良かったのにな」
「「…え、無理でしょう」」
さらにのち、参謀にやってくる伊藤甲子太郎。
頭は良いが様々な問題を犯した男。
「んだよ?」
2人に否定され、思わずブスッとかえしてしまう。
「だって…ねぇ?
味方なら良いですけど、敵になったら最悪ですよ?」
「しかも、面倒くさがりな面があります…
まず入隊から無理でしょう…」
的確な指摘に、流石の土方も苦笑いになってしまう。
確かに、紅妃ならあり得る。
しかし…
短い間に良く理解している。
「あぁ…そっか。
…大変だな」
「「そうです」」
いや…
別に、伊藤の話しのやつじゃない。
…コイツらじゃあ、紅妃も大変だなって事だよ…
「はぁぁあ」
土方の大きなため息に、沖田と斎藤は首を傾げていた。
そんな若い2人に、土方は苦笑いを溢す。
「さぁ、てめぇらはさっさと仕事に戻れよ」
土方は中断した仕事を再開しようと2人にシッシッと追い払うが、何故か沖田はその辺をゴソゴソと漁り出した。
「…総司、てめぇは何やってんだよ?」
「え?
久しぶりに、豊玉さんを見ようかなと思いまして…」
プツッ!!
「そおぉぉおじいぃぃぃッ!!」
土方が鬼の形相で抜刀して沖田を追いかける。
斎藤は1人、沖田が漁ってる間に退室していた。
その日、飄々と笑顔で逃げる沖田と、鬼と化した土方に平隊士達は怯え、鬼ごっこは一刻ほど続いた。
