「そりゃあ、不味いんじゃねぇか…?」
だが、あの紅妃に限って芹沢にそう簡単に消されるとは考えにくい。
「とにかく!
早く助けに…」
「誰を助けに行くんだ?」
「聞いて無かったんですか?
紅妃ですよ!」
「ふーん…」
「「「………」」」
割り込んで来た声に、3人がそっと見やるとそこには、戸にもたれ、腕を組んだ話題の主がいた。
「無事か?」
「特に何も無い」
いち早く、正気に戻った土方が問うと、紅妃は先手を打つ。
土方の眉がピクッと動く。
鋭い眼差しが交差する。
しばし無言の戦いに、緊張を破壊する男がいた。
「歳~!」
ドタドタと緊張感の無い足音の主、近藤だった。
「うぉッ!!襖が無いじゃないか!
って、御厨君、総司に斎藤君もいたのか!」
土方の部屋の惨事に驚きつつ、にこやかに入室すると、紅妃達に軽く挨拶をしながらドッカリと土方の前に座った。
「こんにちは!近藤さん!」
「…失礼しております。局長」
「「………」」
雰囲気をぶっ壊され、沈黙する2人をよそ目に沖田と斎藤は、はっきりと挨拶する。
「…ふぅ。
用件は以上ですので、失礼します、副長。
では、失礼します。局長」
一礼して去ろうとすると、近藤に呼び止められた。
「あぁ、御厨君も話しがあるんだ。
まぁまぁ、座りなさい」
ちょいちょいと手招きをする近藤に、紅妃には嫌な予感しかしなかった。
