「始め!」
二刀流の紅妃と構えた沖田と斎藤は、お互いの出方を伺うが、力量が高い3人は待っていても隙は出来ない。
沖田は半歩下がると、斎藤が得意の居合いをかける。
ガッ
斎藤の居合いを片手で止めると、沖田がすかさず打ち込む。
カンッ
カカンッ
小気味良い音を発てながら、素早い打ち合いは尚も続く。
一進一退。
長く続いていたが、飽きたのか紅妃が2人を弾き飛ばし距離を取る。
「…終いだ」
ゆったりと話せば、腕をダランと伸ばした瞬間、紅妃は斎藤と沖田の間に入り込んでいた。
少し反応が遅れた2人に、紅妃はすかさず打ち込み2人の首筋に木刀を突き付けた。
何もかもが一瞬の様な試合だった。
「それまで!
勝者、御厨!」
井上の言葉で、静寂に包まれていた道場に活気が戻る。
「あー!
負けた~」
「…精進あるのみ…か」
沖田と斎藤が悔しがる中で紅妃は平隊士達に囲まれ、指導してくださいだのと、ねだられる。
そんな中、道場の入り口に影がさした事に紅妃は気付き、声をかけようとした。
「御厨君ッ!!
君はなんて美しく強いんだッ!!
是非今夜語り合おうじゃないかッ!!」
キラキラとした笑顔で走ってくる、武田が遮った。
紅妃は、入り口に向かい影を掴むと向かってくる武田の盾にする。
ドンッ!!
ギュウッ!!
「あれ、御厨君って以外とたくまし…」
武田は道場内の空気の異常さと抱きしめた身体の異常さにゆっくり目の前を確認する。
「…離さんか。
武田」
事もあろうに、抱きしめたのは筆頭局長芹沢鴨だった。
