やっと追いついたぁ。

私が呼んだのに気づいて止まってくれた隼斗くんは
息をきらして、5月なのに汗をかいている私を
不思議そうに見下ろしていた。



「このペンケース、隼斗くんのだよね?
音楽室に忘れてたよ。」

息を整えそう言って渡すと



「ありがとう。
これのために走らせちゃってごめんね。」


と言われたから

「いーよ、全然。
とどけてあげたんだから、ちゃんと勉強しなよぉ。
じゃ、また明日ね。」


と言って帰ろうとしたら

「送るよ」

と言われた。


断ったけどしつこいから
途中までお願いした。