トントン、とお兄さんが指を叩きつける音が静かな空間に響く。アキラを急かす様なその音と、視線。私はもう半分くらいどうでもよくなってたんだけど…。
「……言った通り、親父は吸血鬼界の王で、いくら俺に人間の血が半分入ってるとは言え、他の吸血鬼より強い力を持ってしまう。
―――吸血鬼には三段階に種類分けされる…。一番上が、親父や兄貴みたいな、純粋な吸血鬼。真中が俺みたいなハーフやクォーターの吸血鬼。一番下が、純粋な吸血鬼に噛まれた人間だ」
聞きたくなかった。瞼が熱くて、視界がぼやけてくる。嫌だ、泣きたくないのに。
「……でも、アキラは純粋な吸血鬼じゃないんでしょ?私は人間のままだよね」
「…半分半分だったにしても、王である親父の血が混じってる分、他の吸血鬼よりは優性に位置づけられる。まだはっきりしてないけど、俺は人間を吸血鬼に出来る分類かもしれない。
―――もしかしたら、お前を吸血鬼にしてしまってる可能性がある」
「止める方法は、」
「無いな。……というか、お前はすでに吸血鬼になりかけてる。アキラに噛まれた傷口がすでに治りかけてるのが証拠だな」
黙って話を聞いていたお兄さんが口をはさんだ。お兄さんに目を向けると、鋭い瞳と目があった。思わずビクリと肩が跳ねる。
ああもう、どうしろって言うんだ。
私はもう、人間じゃなくなってしまったのか。
「……帰りたい」
やっと出た一言に、アキラは無言で立ち上がって私の手を引いた。
使用人の男の人が出してくれた車に乗り込んで、真っ暗な住宅街を横目に流しながら家路につく。
アキラは終始無言だった。
