「おい、大丈夫かよ…」
「…はは、」
乾いた笑いを洩らす。ダメだ、動揺が隠しきれない。震える足に鞭を打つように立とうと力を入れるが、どうもうまく動いてくれない。
そうこうしていると、ふわりと身体が浮いて地面に足がつく。いつの間にか後ろに居た、アキラのお兄さんに支えられていた。
「アキラ、聞こえてないみたいだったからもう一度言う。
"声だだ漏れだったぞ?"」
無表情のまま、アキラを見下す様にそう言ったお兄さん。アキラを見れば、みるみる目を大きく見開かせて口元を手で隠した。
そんなアキラを見て私は不安になる。(ちょっと待ってよ…)アキラに意識を集中させていると、ビリっと音がして首元の絆創膏が剥がされたことに気づく。慌てて傷口に手を当てようとしたが、手を掴まれてしまった。
訝しげに傷口を見つめたお兄さんは、視線をアキラに移すと眉間に皺を寄せてアキラを睨みつけた。
「お前、責任取れんだろうなァ?」
ゾワゾワと悪感が背中を駆け抜ける。足がガクガクして、今にも座り込んでしまいそうになるのを、お兄さんにしっかり支えられた。
アキラを見ると、始めこそお兄さんを睨みつけていたが、ハッとしたように私を見た。
「さっきの話、聞こえて…」
やってしまった、というような表情でアキラは私とお兄さんを交互に見た。そして舌打ちをすると、諦めた様に頭をかいた。
「………話すよ」
小さくそう言うのを聞いたお兄さんは、私を抱えるとリビングへと足を進めた。後ろでバタン、と音がしてドアがしまる。
私はソファに下ろされると、後を続いてアキラがその向かえ側に座った。
瞬間、ほとんど無意識に口が動く。
「―――私が、吸血鬼になるって…」
