「……ついた」
小さく声が聞こえて周りを見渡す。随分と大きな門をくぐり抜けて、家…というより屋敷と言った方がしっくりくるだろう所の玄関に入った。
入ってすぐのところに置いてあったベンチに座らされるとほぼ同時に、奥から人が出てきた。真っ黒な燕尾服のような物を着た男の人と、女の人が一人ずつ。
彼らは素早くアキラの荷物を受け取ると、綺麗にお辞儀をした。
「お帰りなさい、アキラ様」
てんてんてん、まる。
私はただ唖然とその風景を眺めて、息をのんだ。アキラを見ると特にこれと言って変化もない。…馴れてる。
アキラに負ぶられながら思った仮説が徐々に真実へと姿を変えているような気がして、頭が痛くなった。
―――きっとあれだ、吸血鬼は無いにしろ、金持ちではあるんだ。だからこういう使用人みたいな人がいて、家もこんなでかくて…。うん、きっとそうに違いない。
「三宅」
完全に思いふけっていると、名前を呼ばれた。見れば、全員から視線を貰っている。何だか恥ずかしくなって、アキラに視線をよこせば使用人さんの方を指差した。ので、そちらに目を向けると、女の人が私の傍に膝をついている。
「三宅様、怪我の手当てをさせて頂きますので、どうぞこちらに」
「え、あ…はい」
慌てて返事をして立ち上がる。不安なのでもう一度アキラに目を向ければ「ちゃんと話すから、ちゃっちゃ行って来い」と手をひらひら振られた。めんどくせえ、っていうのがモロにかもし出されててちょっと腹立つ。
が、いい加減タオルをおさえる手も疲れてきたので、さっさと手当てして貰おう、と切り替えて女の人の後に続いた。
