「皮肉か…嫌味かね。
老体には冷たすぎる冗談を」


「冗談なんて下らないことをほざきにくるほど俺は暇じゃない。

雷神に代わったのは狡猾で血なまぐさいこの狼なんでね、仕事してないと周りから苛められてかなわない」


「儂に似合わず、貴様は人らしき心は持ち合わせていないからな…大人しく獅子の後釜を得れば良いものを」


「残念だ。

誇り高き獅子の座は悪役たる俺には少々綺麗すぎて都合が悪い、肺が腐ってしまうのはごめんなんだ」


「……狼め」



自嘲に似て意地悪く男は唇を引き上げた。

重力に勝てなくなってきた顔の肉が妙に重たく感じるのである。