都内へ某所にある、マンションの一室。
マンションの前に大勢の人だかりと
大勢の警察官たちが、混雑していた。

そんな、人混みを
避けて前に進む一人の青年。

彼の名前は麻賀 健斗(あさか けんと)
光の当たり具合によっては
金髪に見えるくらいの髪の色。
少し、着崩されたスーツ。

下手をしたら、チンピラに
間違えられても可笑しくないナリを
している彼は、歴(れっき)とした公務員。

ーーーー刑事だ。



「あっ!麻賀さん!!」

「よっ、状況は?」



白い手袋を付けながら、
走り寄ってきた新人の部下に笑い掛ける。




「被害者の名前は倖原カケルさん、25歳」

「……殺しか?」

「部屋の状態、凶器からして他殺でしょう」



荒れ果てた室内。
明らかに争った形跡。
被害者の遺体の腹部からは赤黒い
固まった血液がなんとも言えない異臭を
漂わせていた。

麻賀は、遺体の傍にしゃがみこみ
遺体をまじまじと見つめた。



「空き巣や強盗か…」

「その可能性はありますよ」

「なんで、そう言える?」

「被害者に姿を見られ、動揺した犯人は被害者を殺害するケースは少なくないです」

「…それが、本当に空き巣や強盗の仕業ならな」

「どういう意味ですか…?」



麻賀は静かに被害者の腹部を指差した。