赤黒く血濡れた身体。
生気を失われた顔。
身体中傷だらけで、
雨に濡れたせいか、温もりは失われていた
《か、は…くん…》
《和梛…くんっ…!》
弱々しい声と、言葉。
聞こえるか、聞こえないかの声。
《どうしてっ!!》
《ご、め…ね…》
《いやだっ!!いやだよっ!!》
力が抜けた和梛くんの身体は
僕の腕にズシリッと
重くのし掛かった
嫌でも、思い知らされる。
この、和梛くんの身体には
もう、和梛くんはいない。
僕の片割れは、
身体だけを残して逝ってしまった。
この身体と、僕を、残して…
《大事な弟さんを亡くされてお気の毒です》
警察の上辺だけの言葉が、
妙に耳から離れなかった。
《検死の結果…》
なにも、考えられない頭で
両親と一緒に、警察の次の言葉を待った…
《他殺だと云うことが解りました》
僕の世界は、闇に覆われた。
...

