あいつ・・・自分なら俺を落とせるとでも思ってんのかよ。マジむかつく。無理に決まってんだろ。鏡見ろって。・・・あれ?俺ってこんな奴だったっけ?もっと・・・人には親切で・・・?嘘だろ?なんでだよ・・・訳分かんねぇ。

「・・・先輩」

「あ?・・・麻里か。」

「・・・話が、あるんです。」

「・・・分かった。とりあえず、そこ、入ろう。」

「・・・はい。」

俺たちが入ったところは、俺の教室。どうせ、みんなもう帰ってるし、誰も来ないだろう。

「・・・で?話って?」

「・・・分かるでしょう?」

「・・・昨日のこと、か。」

「・・・。」

「悪かったよ。昨日は、その・・・色々言い過ぎたと思う。だけど・・・今俺は・・・っ」

・・・今俺は?何言おうとしたんだよ?・・・桃実、か?

「先輩。」

「ん?」

「・・・別れましょう?」

「な、んで・・・」

「・・・先輩は桃実先輩が好きなんでしょ?・・・私、我慢できるつもりでした。でも・・・もう、無理でした。桃実先輩と千津先輩が、兄妹みたいなものって言っても・・・段々、分かんなくなってきて・・・信じたくても、信じられなくて・・・そんなときに、・・・昨日会った人が助けてくれて・・・ごめんなさい。ごめんなさい・・・千津先輩・・・ごめんなさい。フッ・・・グス。ッ・・・グスッ・・・フッ。」

泣き出した麻里を見て、抱きしめたくなった。抱きしめて・・・『もう、大丈夫。俺が悪かった。』そういってやりたかった。



・・・でも、俺はしなかった。そのまま泣いてる麻里を置いて教室を出てしまった。

俺が、麻里に今そんなことを言って、何になる?俺が麻里を抱きしめて何になる?


そう思うと、胸が苦しくて・・・痛くて・・・

「痛てぇよ。麻里・・・」

俺はそのまま全速力で家まで走った。