強がり男子

「おはよ」


 少し微笑んだ彼は再び読んでいた本に目を戻す。



「いつも本読んでるね」

「うん」


 本から目を離すことなく私に返事。



「あ!! その本、私も読んだ!!」

「え!? 本当!?」



 それまで本に向けられていた視線が一気に向けられてドキッとした。




「その人、いいよね~。独特の文とか…」

「こんな近くに理解してくれる人がいたんだ…」



 パタンと本を閉じた彼はにこっと笑った。




「あ、中島君。笑ってた方が絶対いいよ~」

「はは。ありがと。秋吉さんも今日は何だかいつもと違うね」

「今日はちょっと頑張ったの~」

「頑張らなくても可愛いのにね」




 可愛いって言われた…。




 あいつもこれくらい素直だったらもっとカッコいいのに。