「ん、入って」

「…え、あー……うん」



 『神山』と書かれた表札の家に案内された。



「怜斗、バター買ってきたー?」


 キッチンから顔をのぞかせた人。



「あ、忘れてた」

「あっらぁ!? 怜斗が女の子を連れてきたの!?」



 パタパタと走ってきた小柄な女の人。


 すっごい若い…。



 お姉さんかな…?




「あ、初めまして…秋吉 花です」

「花ちゃんね~、可愛い子~」

「あの…これよかったら…」



 手に持っていたバターを渡した。



「え…? いいの?」


 女の人が首を傾ける。


「はい。全然大丈夫です♪」

「うわー…笑顔ヤバいわ~……怜斗、花ちゃん足をけがしてる。手当してあげなさい」



 へ…?


 足を見るとダラダラと流れている血。



 気付かなかった。