「俺はカッコいいから」

「…自分で言わないでよね」



 しばらくして戻ってきた奴。



 何も言わず黙って席に座った。




 私は何も聞かない。



 聞いても仕方ないし、どうでもいい。





 それよりさっきの女の子のほうが気になる。





 私は席を立って教室を出た。




 もちろんお兄ちゃんは置いてきた。





 廊下の角を曲がると鼻をすする音が聞こえてきた。





 あの子かな…?




 私は辺りを見渡してその子を探す。



 掃除用具の後ろに小さな影が見えた。




 私はそっと近づく。