ハンバーグの匂いがキッチンに充満した。



「お兄ちゃん達呼んできてくれる?」




 お母さんにそう言われて階段を上がった。





 お父さんはすでに椅子に座ってビールを飲んでる。





 長男のお兄ちゃんは空牙(くうが)兄ちゃんって呼んでる。





 空牙兄ちゃんはいいんだけど…お兄ちゃんを呼ぶのは気が進まない。





 まず空牙兄ちゃんの部屋をノックした。




 返事も聞こえてないけど扉を開けた。




 こんな大音量じゃどれだけ大きくノックしても聞こえないよ。




「空牙にーーーちゃーーん!!」

「声が大きい。聞こえてるし」


 机に向かって何かを書いてた空牙兄ちゃんがこっちに振り返る。




「あれ? いいことあったか?」



 にやにやと私に近づいてきた。