「家…ここ……」


 見慣れた道を通って家の前に着いた。




「ん」


 そう言って強く握っていた手を離す。





 案外簡単に離れるんだ。





 ふいにそう思った。





「じゃあな」

「うん、わざわざ家までありがと。ここより向こうなの?」

「あぁ」



 私はそう聞いて安心して家に入った。





 …案外、優しいんだ……。