「なぁ。あそこは危ないと思うけど?」



 それまで黙っていた奴が口を開いた。



「ほっといてよ! 彼氏がいるんだし平気よ!!」

「彼氏がどんな奴かも知らないけど、行かないことを勧める。あとさ、秋吉はなんでも屋じゃねぇんだよ!! 全部頼るとこいつの身が持たないから」


「あんたに関係ないでしょ? あんたその子の何なのよ」

「なんでもねぇよ」





 ギロっと睨みつけた女の子はビルに入って行った。





 こいつ…私をかばってくれたの…?




 助けてくれたり…私が言えないことを言ってくれたり……。





 何がしたいの。




 これ以上私の頭の中をぐちゃぐちゃにしないでよ。と心の底から思った。




「帰るぞ」


 急に手を握られて強く引っ張られる。