もうすぐ夏休みに入るのに転校生か。




 俺は嫌な予感しかしない。





「藤崎―、入ってこい!」



 担任が扉の方に向かって声をだすと、教室のドアが開いた。




「「「きゃーっ」」」



 女子の悲鳴に似た叫び声が教室を包んだ。






「藤崎直斗(ふじさき なおと)です。よろしく」



 長身で茶髪、人懐っこそうな目に、シャープな顔。




 いわゆるイケメンってやつだ。




 チラッと花を見ると、少しワクワクしているみたいだ。






「藤崎はあの席な」

「あ、はい」



 担任が指さした席は俺の後ろ。




 うわ、面倒くせぇ。