*花side*

「花、ありがと~」


 半泣きの状態で教室から出て行く、隣のクラスの友達。



「好きな人もいねぇやつが人の恋愛相談なんてよくできるな」

「うっさいわね~。いちいち突っかかってこないでよ」




 隣の席で机に肘をつきながらこっちを見てる男。



 私の大嫌いな人。




「バカ」

「は? 俺には神山 怜斗(かみやま れいと)って言う立派な名前があるんだよ!!」

「名前負けしてる」

「…お前もだろ! 何だよ、秋吉 花(あきよし はな)って。どこに花っぽさなんてあるんだか」




 この神山怜斗と呼ばれる男。



 毎日のように私にケンカを売ってくる。




「朝から夫婦ケンカしないでよね!!」

「「夫婦じゃない!!」」



 綺麗にそろった私たちの声は、親友である町田 彩芽(まちだ あやめ)の笑いを誘う。