「(鼻…折れちゃったかもな…)」


私の部屋などない。だから、誰も使うことのない押し入れにひっそりと隠れる。
私に必要なものは、この押し入れの中に全て入っている。
制服、学校指定のジャージ、下着に毎月渡されるお金(因みに一万円)。私服も必要最低限のものしか入っていない。

今日も帰り道にコンビニで買ってきた菓子パンをかじりながら、遙のことを考える。


「会いたいなぁ…」


この苦痛をいつも和らげてくれるのが遙。遥の言葉、遥の笑顔、遥の優しさ…遥の全てに私は救われている。感謝してもしきれないほどだ。

大切な友達だって、大切な幼なじみだっている―――そんな学校という場は、私にとって天国以外のなにものでもなかった。

でも、そんな生活をしているからこそ、不安がある。

学校での私と、家での私。
両方を知られてしまったら、

みんなは私から離れていってしまうのだろうか。