「あら、今日は遅かったのね?」
「…ごめんなさい」
「誰も謝りなさいなんて言ってないけど」


家に帰って待っているのは家族の愛情でも温かいご飯でもない。
私に待っているのは、母親からの暴力という名の地獄。


「はーぁ、帰ってこなくてもよかったのに」
「ごめんなさい…」
「しつこいっ!」


なんの戸惑いもないその蹴りに、やっぱり私は愛されていないのだと実感する。

―――でも泣いちゃいけない。
私の涙は汚いから。私みたいな人間は涙を流しちゃいけないから…。

私は額を地面に擦り付けて、血が滲むほど唇を噛み締める。


「ごめんなっ、さ…」
「はぁ、鬱陶しい。汚いからもうどっか行って」


最後に頭を踏みつけられ、鼻を思い切り打ちつける。


「………」


私の居場所は、何処にあるんだろう。