「菜都美、ごめんな?」

「え?」

「俺のせいだろ、どう考えても。だから、ごめん」

「全然、大丈夫です…」

「それと、」


ふぅ、とため息のように龍史が息を吐いた。

さっきから、菜都美と呼ばれていてくすぐったい気持ちのまま、菜都美は龍史を見上げた。


「なんでもっと早く傷付いてること言わないんですか?」

「亮先輩は自力で気が付いてくれたし…」

「亮の話は良いの。あいつらに俺がなんて言ったか覚えてる?」

「…え?」

「俺は菜都美が大切なの。今のままじゃ、亮に負けてるみたいだし…意味分かる?」


龍史が菜都美の頭を撫でる。


「私…ペットにしかなれませんか?」

「は?」

「先輩の猫以上になりたいんです。私、先輩のこと…スキ」


菜都美が龍史を見上げると、龍史の顔は真っ赤で目をそらされた。


「先輩?」

「意味分かってねぇじゃん。俺が一生、守ってやるって言ってんの」

「それは…」

「俺も、菜都美が大好きだよ?」