燃え盛る業火の炎。




火の手はもう町を飲み込み、止まることを知らない。

さっきまで、遠くで聞こえた誰かの叫びはもう届かない。




全ては炎の中────もうみんなの命は尽きてしまったのだろうか?








それすらもう……──わからない。








「──…な…ま……」


掠れて声にならない声で呼ぶのは愛しい人。決して、一緒になることは出来なかった彼。


「…さ──…ら──様!」

息も絶え絶えに貴方は私を抱き締めた。強く強く──もう離さないと言わんばかりに力強く。





私は最低かも知れない──

人々が鳥が……自然が──苦しんでいるというのに、今、この瞬間があれば良いだなんて……思うなんて──。


そんなことを言ったら貴方はきっと「仕方ないですよ」って言って「貴女だって人間なのですから」と続けて、


優しく、暖かい手で頭を撫でてくれるのかな?










でも……──それでは駄目なのだとわかってしまった。








────大人になって気付いてしまったのは運命(さだめ)だから。