初恋の実らせ方

「Hなら絶対啓吾より俺だと思うんだけどなー」


その瞬間、真っ赤になった彩を見て侑治は苦笑した。


「この純さ、いまどき天然記念物だよな。
一から教えてあげたい」


「侑治先輩、残念でしたー。
彩は長谷部先輩のキスがいいんだもんねー」


話の流れから、沙耶は深く考えずに言ったんだと思う。
だけどなんていうタイミングなのだろう。


「先輩のキスに骨抜きみたいですよ」


久美子の相槌が今は痛い。
啓吾を見ることができない。
―――啓吾は今、どんな顔をしている…?


「へ…ぇ。
やっぱり俺、上手いんだ」


次に口を開いたのは意外にも啓吾だった。


どうして啓吾はそんなこと言うの?
今の話が嘘だって、誰よりも分かっているはずなのに。


「つまんねぇのー」


侑治は口を尖らせて言った。